皆さんこんにちは。岡崎市出身のモータースポーツ”カメライター”の青山義明です。
モータースポーツ・シーンも活況の8月です。昨年に引き続いて特に夏休みもお盆もなくなってしまった私は、フランスに渡り、ル・マン24時間レースの取材をしてきました。隔離期間などもあったので、このひと月をほぼル・マン関連で過ごすこととなってしまいました。そんなわけで、普段ここではラリー関連のお話をさせていただいておりますが、今回はこのル・マンのレースのことを中心にお話ししましょう。
<筆者プロフィール>
1969年生まれ、岡崎市藤川町出身。四半世紀近くフットワーク軽く、国内外のレース取材を積極的に行なっているモータースポーツ・カメライター(フォトジャーナリスト)。日本出国前の書類作成や現地に入ってからのPCR検査(サーキットに入るために2回、日本帰国のための1回と今回は都合3回の検査となりました)、さらには帰国後の隔離とこれまで以上に何もできない時間が多く、エアチケットも高く出費もあるし、で散々です。岡崎でもワクチン接種も始まっていますが、早く以前のようになるといいのですけどね。
○岡崎市出身 中嶋一貴選手の4連覇も掛かっていたのですが…
ル・マン24時間耐久レース。ご存知の方も多いと思いますが、世界三大レースのひとつと言われていて、今回で89回目という長い伝統を持つレースです。FIAWEC(世界耐久選手権)シリーズの一戦に組み込まれていて、そのWECシリーズのメインイベントとなります。このレースが行なわれるサルト・サーキット(正式名は、ル・マン24時間サーキット)は、ブガッティ・サーキットという常設のコースの一部とその周囲の市街地公道を組み合わせたもの(1周13.626km)で、この24時間レースの時だけ出来上がる特別なサーキットです。
ル・マン戦、通常は夏至の頃の開催なのですが、今年も昨年に引き続いて開催日が変更され、丸々2か月後ろ倒しとなる8月21日から22日となりました。開催日が変更となったことで、日の出ている時間も短縮され、太陽の高さも位置も変わることとなりました。このレースウィークの日の出時間は朝の7時、日の入り時間は夜9時過ぎ(サマータイム)となります。夜の時間が長くなったことで、ドライバーも必ず夜間走行をするよう最低周回数が決められたりしています。また、昨年は無観客で開催されましたが、今年は最大5万人の制限付きで観客も入りました。フランスのバカンスシーズンだったこともあり、ちょっと驚くほどの人々がコースサイドに陣取っていました。このご時世に? と心配になるほどです。
ル・マン24時間レースには、プロトタイプと呼ばれるレーシングカーと市販車に近い形のGTカーが参戦します。プロトタイプのLMP1クラスと分けられていた車両は今年からハイパーカー(LMH)という新レギュレーションの車両に変更となっています。トヨタGAZOO Racingはこの変更に合わせて昨年までのTS050 HYBRIDから、ハイパーカーGR010 HYBRIDに車両を変更。すでにWECシリーズに参戦しており、開幕から3連勝(このル・マンがWECの第4戦となります)を挙げており、このル・マンでも直前のテストデーや練習走行からその速さを見せつけていました。
予選、そしてハイパーポールの2段階予選で89回目のル・マン24時間レースのフロントロウを獲得したのがそのGR010でした。ポールポジションを獲得したのが、まだル・マンで勝ったことのない7号車(小林可夢偉組)、それに続くのが、今回4連覇がかかっている8号車(中嶋一貴組)でした。
個人的には8号車の4連覇を期待したわけですが、まさかのオープニングラップに他車に追突されてしまいます。それによって、いったんは最後尾にまで順位を落としてしまいます。すぐに順位は挽回したものの、さらに他車との接触や燃料系トラブルなどが続いてしまいました。それでも最終的には7号車の2周遅れでチェッカーを受け、TGRのワンツーフィニッシュという形でレースは終了し、表彰台には日の丸が2本並ぶこととなりました。
○WRCも後半戦へ
2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)も、7月15日~ 18日の第7戦ラリー・エストニア、そして8月13日から15日の第8戦イープル・ラリー・ベルギーと続き、シーズンも後半に入ってきました。ベルギーではヒュンダイi20にやられてしまいましたが、ヤリスWRCは好調でこれまで8戦中6勝を挙げており、マニュファクチャラー選手権では首位の座をキープしています。
また、WRCドライバーを目指す日本人若手ドライバー育成のプログラム「WRCチャレンジプログラム」がドライバー募集を始めました。モータースポーツ経歴のある14歳~24歳の方を対象に、10月8日(金)までオンラインで募集を行なっています。書類選考で選ばれたドライバーは、11月に富士スピードウェイでの実技テスト、これを通過したドライバーは2022年1月にフィンランドで最終選考を実施するということです。「明日の勝田貴元を目指す」なんて夢、いいですね。私もあと30歳若かったら応募するのですけどねぇ(笑)