【連載企画】岡崎でラリージャパンを楽しもう、盛り上げよう vol.2

皆さんこんにちは。岡崎市出身のモータースポーツ”カメライター”の青山義明です。

WRC(世界ラリー選手権)が開幕し、この原稿を書いているタイミングでは第2戦として組み込まれることとなったフィンランドでのアークテックラリーがスタートしています。昨年は中止となってしまいましたラリージャパンも、無事に今年のシリーズスケジュールに組み込まれ、第12戦「ラリージャパン」として開催されます。その「ラリージャパン」の11月の開催まであと250日ほどとなりました。今回もWRC、そしてラリーに関して少しお話をして行きましょう。

先輩方の作品、勉強になります。 この写真展は品川の
キヤノンギャラリーSで3月17日まで開催中です。

<筆者プロフィール>
1969年生まれ、岡崎市藤川町出身。四半世紀近くフットワーク軽く、国内外のレース取材を積極的に行っているモータースポーツ・カメライター(フォトジャーナリスト)。モータースポーツシーズン本格スタート前ということで、先日はレースカメラマンの団体である「JRPA(日本レース写真家協会)50周年写真展(東京・品川)」に作品鑑賞に行ってきました。非常に見応えのある作品の数々でしたが、何人もの先輩に捕まってなかなか鑑賞に集中できませんでした・・・(笑)。

⭕️ ラリーってそもそもどういった競技?

前回はラリージャパン実行委員会の高橋浩司会長のインタビューを行いました。まだこのコロナ禍でいろいろがどうなるか不明な部分も多いですが、それでも開催できるよう着々と準備を進めているということでした。で、今回は、もう少しオーソドックスに、ラリーを知らない皆さんに、ラリーってどんな競技なのか?ってところから解説をして行こうかなと思います。

岡崎市民の皆さんなら、F1はもうご存知だと思います。サーキットという環境で、参加車両が同時にスタートして速さを競うという、クルマを使ったスピード競技の世界の頂点にあるものです。こういったサーキットレースは、F1以外にも、中嶋一貴選手が3連覇したル・マン24時間レース、そして国内で行われるSUPER GTも同じで、一斉にスタートしてゴールを目指すという点は変わりません。決勝レース前に車両のセッティングを煮詰め、時には決勝レースのためのスタート位置(グリッド)を決める、予選セッションというものも存在します。

ラリーという競技は、そういったサーキットレースと大きく異なります。ちょっと乱暴に言ってしまうと、一般公道を使用したレースで、合法的な公道最速選手権と言えます。日常的に私たちも使うような一般道を一時的に封鎖してレースを行うのです。決められたコースを一台ずつアタックしていく形となるので、他車とのバトルという展開はありません。また、サーキットレースではマシントラブルなどがあるとサーキットのピットに戻って修理をしますが、ラリーでは競技場所がそもそもピットとなるサービスから離れていますし、サービスでもメカニックたちが車両を触る時間も決まっています。そのため、パンクを含め、直してなんとか走れるレベルのトラブルは搭乗している選手が対処しなければなりません。

公道を中心とした競技ということで、サーキットレースならピットが隣接しているのですぐに競技を行うコースへ出ていくことができますが、ラリーではサービスパークから、競技を行うスペシャルステージ(SS)への移動もあります。SSも複数用意されているので、SSとSSとの移動区間(リエゾン)ももちろん一般道。ですから競技ではないこのリエゾンは交通法規を守って移動しています。

⭕️実は各選手がそれぞれ時間に正確に動かねばならない競技

ラリーは、その競技区間となるSSでのタイムを競うわけです。そのため、SSでの走りとそのタイムばかりにフォーカスしていくことになってしまいますが、競技者にとっても我々取材を行うメディアにとっても、時間の割り振りという、サーキットレースとは大きく異なる特徴があります。1台ずつアタックするラリー競技では、SSのスタート時間だけでなく、あらゆる行動が選手ごとに分単位で決められています。それぞれが設定された時間で、セクションごとに設置されたタイムコントロール(TC)でチェックされ、選手はすべてのTCを必ず通過しなければならないというルールがあります。実はここが一番の違いだと私は思っています。

サーキットレースもスケジュールがそれなりに細かく決められてはいますが、練習走行や予選といったセッションは、選手みんなが一斉に走り出すので、食事の時間や取材対応など、それぞれが大体同じような行動をします。それに対して、ラリーはそれぞれの走行時間が違うので、サービスパークを見渡すと、全く違う雰囲気であることがわかるはずです。

私たちのような取材をする者にとってはこの違いは非常に大きいのです。サーキットレースならば走行を見る時間、選手に話を訊く時間といったものが明確に決まっていますし、その場所も近いので、走りを撮影してコメントを取るということも容易ですが、走行後の同じタイミングでいろんな選手にコメントを取るのは大変、という難しさがあります。逆にラリーとなると、常にだれかが走っていて、だれかがクルマから降りているという状況になり、サービスにいていろんな選手からコメントを取るってことは楽になります。が、いろんな選手の走りを撮影してコメントも取るというように一人で取材をするということになると非常に大変になってしまいます。

と、今回はそんな競技の進行について少し書いてみました。次回はもっと具体的にWRCのことに切り込んでいこうかなと思います。ちなみに興味が湧いてきましたら、以下のサイトにもラリーの詳しい解説などが載っていますので、ぜひそちらも見てみてください。

ラリージャパンのサイト

全日本ラリーのサイト  

開幕戦から絶好調だったトヨタ・ヤリスWRCですが、WRC第2戦のアークティックでは、ヒュンダイ勢にすこしやられてしまいましたね。開幕戦を優勝した1号車のセバスチャン・オジエ選手は2日目の最終ステージSS8で雪壁に激突してしまい大きく後退。
トヨタ・ヤリスWRC 69号車を駆るカッレ・ロバンペラ選手がこのフィンランドで2位と健闘。
カッレ・ロバンペラ選手は開幕戦モンテカルロでは4位入賞しており、ドライバーズポイントで暫定首位に立つこととなりました。

⭕️ おまけ:3月の新城ラリーに向けて、国内各チームも準備を着々と

ラリージャパン2021のキービジュアル第1弾が公開されました。
今年のラリージャパンのイメージ画像ということで、
今後各地でこのイラストを見ることが多くなるかもしれませんね。

花粉も厳しい時期になってきて、コロナ禍ではありますが国内のモータースポーツもようやく始まっていきます。WRCの開幕に続き、国内の全日本ラリー選手権も、実質的に開幕戦となる第2戦新城ラリーが3月19日から21日に開催となります。残念ながら昨年同様に無観客での開催となってしまいますが、今年も取材に入り、その激しい戦いを世の中にお伝えできればと思います。今シーズンの注目はなんといってもGRヤリスの登場です。どれほどの戦闘力なのか? その行方に興味津々です。

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